彼岸は「二十四節気」とは別の「雑節」の一つで、二十四節気の春分・秋分を中日として、その前後3日を合わせた7日間を呼びます。
春彼岸とは、その春分をはさんだ期間のことを指しています。
最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」と呼び、中日の彼岸の日に先祖に感謝を捧げるために墓参りをし、残る6日間は悟りのために1日ずつ違う修行を行うとされているようです。

しかし、昨今の宗教離れもあり、若い人でなくとも「彼岸の意味」をきちんと解釈している人は少ないでしょう。
菩提寺が現在の住む所には無い人もいますし、最近のお墓の感覚は、核家族化の急速な進行と共に失われつつあるようですから。

近頃では、彼岸の中日だけではなく、家族間の日にちの調整などもあり、彼岸の7日間の間に墓参りをすることも多くなっていて、昔ほどには厳しくは無いようです。
近隣に先祖伝来の墓を持つ家は、非常に少なくなっていますから、「墓参りに行きたくても遠すぎて」という人もいるのでしょう。
また、慣用句としては「暑さ寒さも彼岸まで」があって、まだ残る寒さも彼岸が過ぎると和らぎ温かくなると、気候の面でも変わり目とされています。

この時期に行われる「彼岸会法要」は日本独自のもので、浄土思想と結びつけて説明されています。
浄土思想で語られる「極楽浄土」は、阿弥陀如来が治めるといわれている浄土の一つで、西方にあると考えられていました。
春分と秋分は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。

その真西に沈む太陽を礼拝し、遥か彼方の極楽浄土に思いをはせたことが「彼岸」の始まりとされています。
「彼岸」は悟りの世界を指す言葉としても定着していて、迷いや苦悩の多いこちら側から、あちら側の岸に至ることを「彼岸に至る」と現しますから、彼岸とは「極楽浄土」を指していると解釈されています。

幾多の変遷の末、祖先を敬い供養する行事として定着、現在に至っているようです。

今年の彼岸の入りはいつ

2014年での彼岸の日は、3月21日の春分の日をはさんだ7日間です。
3月の18日~24日になりますから、彼岸の入りは3月18日になります。

彼岸は、お墓参りの基本とされています。
一般的な彼岸のお墓参りの作法や仕方を、常識として覚えておくのもマナーの一つになります。
お彼岸のお墓参りは、できるだけお彼岸期間中に家族揃ってのお参りが望ましいでしょう。
お寺さんでも、準備を整えていらっしゃるからです。

菩提寺のある場合は、まずはご本尊様の礼拝から始まります。
出来れば、ご多忙でないようなら、ご住職様に挨拶はいたしましょう。
お花や故人の好みの菓子や果物などのお供えと線香を用意し、簡単なものでよいので掃除用具も持参します。

軽くでも構いませんから、お墓を掃除したら、持参した花などや線香を供えてお参りします。
線香は燃やし尽くすまで待ちましょう。
お参りが終わったら、お供え物などは必ず持ち帰ります。
腐敗したり、烏や小動物が食い荒らされないようにするためです。

彼岸に食べるもの?

春彼岸に食べるものと言えば、「ぼた餅」がまず頭に浮かびます。
秋彼岸に食べる「おはぎ」と同じ餅菓子なのですが、春彼岸では春爛漫の牡丹の花にかけて「牡丹餅・ぼたもち」と呼び、秋彼岸は「秋の七草の萩の花」にかけて「おはぎ」と呼ぶようです。

蒸し上げたもち米を半分ついて、楕円にまとめてから「つぶし餡、こし餡」で覆ったり、中に餡を包み込んで「きな粉、ごま」などをまぶしたお菓子で、食事としても頂く地方もあるようです。
春彼岸の季節には、和菓子専門店やスーパー、コンビニに、「ぼた餅」が並びますから、手作りする人は少なくなってきています。

昔の家庭では、家族で手作りしたようですが、近年は高価なものから安価な味まで、簡単に手に入ります。
「春彼岸の味」を、家族で味わうのも嬉しい時間になるでしょう。
バレンタインのチョコレートや、クリスマスのケーキばかりが流行る最近ですが、ゆっくりと日本茶と「ぼた餅」という時間も作ってみてください。

手作りと言えば、「彼岸団子」の作り方をサイトで見ました。
朝一番に作って仏壇に供えるものだそうです。
うるち粉と白玉粉を半々に合わせて、熱湯でかき混ぜて耳たぶくらいの硬さにし、餡を入れて丸めてから蒸した団子です。

「春彼岸の団子」には、春の息吹と香りを添えた蓬・よもぎを混ぜた、若草色のお団子になるとのこと。
「ぼた餅・おはぎ」と「彼岸団子」は、お彼岸には欠かせないもののようです。
手作りではなくとも、お供えしたり家族で食べたりと、楽しみたい春の味わいですね。